石 榴
石榴は血の味 肉の味
千の子を持つ訶梨帝母
人の子を取り 好んで喰らう
これを憂えた御仏が
千子のうちの一子を隠す
帝母嘆き悲しみ子を探す
いずこに いずこに いずこにありや
髪を振り乱し 泣き叫ぶ
子を失う悲しみを知り
帝母は仏の御前にて伏して誓う
二度と 二度と 子は喰わぬ
人の血肉を欲するときは
石榴を喰ろうて 己を律す
故に石榴は人の味
訶梨帝母の喉を潤すその果肉は
禁じられた誘惑の味