〜地底湖〜
深い洞の奥底に眠る紺青の龍が
天空の日輪に恋焦がれた
輝かしい白日の空を
風を引き連れ 悠然と行く
そんな願いを夢に見た
だがその身は
光に触れれば死す運命
目にする事さえも叶わぬ想いに
紺青の龍は人知れず涙を流す
水晶の如くに煌めく雫は
地底に揺らめく湖となった
日輪に焦がれて流した涙は
洞の随所で光を放つ
やがて龍は頭をもたげ
瞳に強い光を宿す
日輪に恋した紺青の龍は
空を目指して飛び立った
命の果つるその時まで
夢にまで見た空を翔ける
風を巻き 雲を呼び
想いのままに空を翔ける
そしてその身は陽光に焼かれ
霧散霧消して大気に溶けた
残されたのは地底に揺らめく湖のみ
紺青の龍が日輪を想い流した涙
仄かな光を放って煌めく
悲恋の地底湖