泰 山 木
濃い緑の葉の陰から覗く
白い花弁
初夏の穏やかな風に乗り
ふくよかな香りを届ける
その肉厚の花弁は
触れる指先を誘うように
恥じらいながら花開く
泰山木
死者の棲まうという山に咲く
魂を揺さ振るその香り
今は亡き者に捧げられた
安寧を約束する香華