酒呑童子

大江の山の鬼童子
畏怖と恐怖と侮蔑の標
彼の狙った獲物は
都で一番と謳われた美姫
一目見るなり恋に堕ちた
どうか自分を愛してくれと
酒呑は姫に懇願する
だが彼に返ってきたのは
恐れと嘲りに満ちた拒絶の言葉
絶望に打ちひしがれ
酒呑は姫を殺め その亡骸を口にした
憎い 愛しい 憎い 愛しい
相反する想いを抱き
酒呑は鮮血の涙を流した
人でないこの身であるから
愛してはもらえぬのか
愛してはもらえぬから
人ではないのか
大江の山の鬼童子は
哀しい恋に破れた 成れの果て