良宵朗月
朗月が私の私の影を照らしている
冬の引き締められた夜気の中で
天宮の頂上に嵌め込まれた巨大な銀盤が
慎ましやかに天青の輝きを放っている
その玄妙な厳かな光の中を
一人 影を踏みしめながら歩いて行く
美しく 優しく 柔らかな光によって
私の中の穢れが洗い流される
ああ なんと気持ちが良いのか
このまま夜気に紛れ
青とも紫ともつかない
天青の光に溶けてしまおうか
朗月のある冬の夜
私は一人想う