御神渡り
先刻まで吹き荒れとった風が
急に静まり返る深更
なぁんの音も聞こえねぇ
こんな晩にゃあ きっと
御神渡りがあらしゃる
湖にいらしゃる男神さんが
山の女神さんに逢うために
かたぁく氷りついた波の上を渡り
足跡を残していかしゃる
この夜があけたらば
大きく裂けた神さんの足跡を
おらが目で拝む事もできようほどに
今は静かに息を潜めて
神さんの逢瀬を邪魔しちゃなんねぇ