真白の原


きしる きしると雪が鳴く

どこまでも続く真白の原に

童の藁沓の跡が一筋

木立ちを渡る風が渦巻き

陽光に輝る銀粉を含み

綺羅綺羅しく舞い散る

吐き出す息が白く広がり

一心に雪の原を行く童の頬が

薄桃色に染まっている

誰も居ない真白の原を

きしる きしると音を立て

一人 童が歩いている

遠くに聳える銀嶺が

きん と張り詰めた空気によって

手が届きそうなほどだ