北の四季

海を漂う流氷が
北の海に遅い春の到来を告げる
海鳥の求愛の声
川を遡ってきた魚影が銀鱗を輝かす

森の守り神が巣立ちを迎える頃
北の国は短い夏を謳歌する
幼い仔達が母親の後を追い
新しい世界に心をときめかす

寄せる波に故郷へと帰る魚群
喜多の国へ急ぎ足で来る秋の気配
山野の鳥 海辺の鳥が翼を広げ
独り立ちした獣が厳しい生を歩く

海底の昆布の林が枯れ
北の国は長い冬の来訪を迎え入れる
氷に閉ざされた眠りの中で
来る春に思いを馳せる