一鱗の魚

山奥深く 人知れず湧く泉がある
陽光に輝き 月明かりに波立つ
その静かな水盤の下に
一鱗の魚がいる
翻る身を飾るのは
白銀の煌めき 宝玉の焔
優雅に舞い踊り
矢の如くに疾駆する
束縛するものは何もない
金波銀波に身を任せ
鏡を滑るように遊ぶ
まるで滄溟にあるかの如くに
思うままの姿で そこにいる

一鱗の魚がいる
誰も知らぬ湧泉に守られ
ただ そこにいる