不如帰


哀しい声で啼く

己の過ちから

幼い弟の命を奪ってしまった兄が

その魂を求めて啼いている

弟の名を呼ばわりながら

喉が裂け 血を吐き

日に百度も千度も名を叫ぶ

故にこの鳥の胸は

自らの血で黒く斑に染まると言う

「弟よ 弟よ どこにいるのだ弟よ

許しておくれ 許しておくれ

お前を疑ってしまった この愚かな兄を」

繰り返し 繰り返し

不如帰は哀しい声で啼く

そして 応えは決して返っては来ない